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「何故君はここにいるんだ?」

「クルゥさんの命令なんです」


トルマリンはそう言って苦笑した。


「貴方達をお守りするように言われました、敵はちらほら街にも入って来ているようです」


あんたに守られる程弱くないから!!と中指立てるマリーを宥め、大丈夫だよ、と何度断っても彼はそれを聞かなかった。


「あの子は何を考えているのか分からないから、君も苦労するね」

「いえ、大丈夫ですよ」

「……空が明るいね」

「クルゥさんの隊はすでに戦闘が始まっているようです」

「様子見てみようか」


そう言って、いつもお茶を飲む中庭に出た。いつもは静かなこの場所も今日はとても騒がしい。


「……うるさい」


マリーが眉をしかめた。
あちらこちらから悲鳴や爆発音が聞こえてくる。大きな戦いが起こっているのだと、実感した。


「…シュアさん、戦場じゃない。近い、近いよ」


マリーが焦ってキョロキョロと辺りを見回す。悲鳴が上がる。爆発音が聞こえる。聞こえてくる音が、近い。
トルマリンの顔が険しくなった。


「…逃げましょう」


音が段々近付いて来ている。
悲鳴、爆発音、悲鳴、爆発音、悲鳴、爆発音……


「狙いは」

「俺、かな」


ドンッ


目の前の壁が崩れ落ちた。


「見付けた、シュアラスター」

「見付けました」


現れた二人の男。
血濡れて真っ赤な姿を見れば先程の悲鳴や爆発音は彼らのせいなのだと分かった。


「………シュアさん」

「うん…」


マリーの顔は青い。
俺も見慣れた人物、元同胞。見覚えがあるのも当然、元々俺達は隣国から逃げて来た人間だ。


「…なるほどね」


俺達が戦えない事を見越しての彼か。
俺は迂闊に戦えない、マリーは同じ国の人間に手を出せる程心は強くない。
トルマリンを見れば、ニコッと笑って二人の前に立ちはだかった。


「俺に任せて下さい、すぐ終わらせますから」

「……殺さないでね」


マリーがか細い声で言う。
トルマリンは分かりました、と二つの鎌を構えた。


「一人で俺達に敵うと思ってるの?」

「嘗められたものですね」

「お前ら如きに俺が負けるはずないだろう?」


ニヤ、と笑う。
スイッチは既に入ったようだ。

"蒼星の死神"

愛に飢えた人間は、戦場では血に飢えた死神となる。クルゥはそう言っていた。


「愛される価値もない、消えろ」




――――そして戦場は血の海となる
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